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科学研究のAI活用:予測を実験と検証につなぐ

Foundry Labs公開日: 開催日 ·
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Tokyo AI「TAI AAI #09 - AI x Science」のイベント告知画像。
Tokyo AI「TAI AAI #09 - AI x Science」、2025-04-15。 · Tokyo AI (TAI).

AIが有望な分子や反応を予測しても、それだけで科学的な発見が完了するわけではありません。実験し、測定し、結果を解釈して、次に何を試すかを変える必要があります。AI活用の価値は、その一連の流れをつなぐところにもあります。

2025年4月15日のTokyo AIイベント「AI x Science」では、材料の基盤モデル、化学反応の予測、自律実験室が扱われました。データの中のパターンを学ぶことと、それを現実で検証する仕組みを作ることを、合わせて考える内容です。

表現方法が、モデルに渡せる情報を決める

MI-6のData Scientist、Elisa Mendoza Zamarripa氏は、分子をグラフや文字列として表す方法を説明しています。グラフでは原子がノード、結合がエッジになります。SMILESのような文字列表現では、定義された記法を使って分子構造を表します。

グラフニューラルネットワークは、つながった構造の情報から表現を更新します。Transformerは、分子を表す列の中の関係を学習できます。いずれの場合も、学習データに何が含まれ、何が含まれないかを確かめる必要があります。

生成物を予測するモデルが、その反応全体について検証済みの説明を提供するとは限りません。科学研究で使うAIには、答えとともに、入力や学習課題の限界を検討できることが求められます。

「TAI AAI #09 - AI x Science」の講演風景。
2025-04-15開催、Tokyo AI「TAI AAI #09 - AI x Science」の会場。

自律実験室の価値は、実験と次の判断をつなぐこと

Institute of Science TokyoのAssistant Professor、Naruki Yoshikawa氏は、自動化された実験とデータに基づく意思決定を結び付ける自律実験室を紹介しています。既存の知識から仮説を作り、実験、分析を経て、新しい知識へ進む流れです。

ロボットが実験を繰り返せても、次に何を試すべきかを改善できるとは限りません。モデルが候補を提案しても、確かめる観測が得られなければ検証は進みません。提案した内容、実行した内容、測定した内容を、一つの流れとして記録する必要があります。

Indra Priyadarsini氏の材料基盤モデルに関する講演テーマも、学習した表現を材料・化学の研究へ活用する方向です。その能力を、予測を支持したり否定したりできる実験の流れへ組み込むことが重要になります。

自然言語を、確認できる実行指示へ変える

Yoshikawa氏の自然言語インターフェースの研究は、この接続を具体的に示しています。研究者の指示を、実験を記述する構造化言語XDLへ変換し、確認したうえで計画とロボット制御へ渡します。提案手法ではエラーをモデルに返し、指示を反復して修正します。

Naruki Yoshikawa氏の反復手法。ロボットを動かす前に検証エラーをモデルへ返し、指示を修正する。
Naruki Yoshikawa氏の反復手法。ロボットを動かす前に検証エラーをモデルへ返し、指示を修正する。

自然言語では省略できる内容も、機器を動かす段階では明示する必要があります。構造化した表現があれば、欠けた情報や、環境で対応できない操作を確認する場所を作れます。

ただし、形式や環境のチェックを通過しても、実験が科学的に意味を持ち、安全であることまで確認できたわけではありません。研究上の判断や機器に応じた審査を含む、より広い工程の一部として扱います。

「TAI AAI #09 - AI x Science」の講演風景。
2025-04-15開催、Tokyo AI「TAI AAI #09 - AI x Science」の会場。

Foundryの視点:予測から測定までのつながりを残す

材料研究チームがモデルで実験候補の優先順位を付ける、という仮の例を考えます。PoCでは過去データから候補を並べられても、本番では、どのデータとモデルで順位を付け、研究者がどんな制約を加え、なぜその候補を選んだかを残します。

承認された実験工程へ渡した後も、候補、プロトコルの版、機器の条件、測定結果の関係を保ちます。実験そのものが実行できなかった場合と、実験した結果が否定的だった場合を、同じ記録にしてはいけません。

モデルの誤り、実行上の問題、測定の問題を区別できれば、新しい結果を学習へ戻す際にも役立ちます。機器の故障を正しい実験結果として扱うと、将来の候補選択まで歪める可能性があります。

初期導入は候補選択と記録準備を支援し、実験の承認は研究者が担う構成から始められます。追跡可能性、準備や照合の時間、観測を安心して再利用できるかを確認します。Foundry Labsの材料科学・計算生物学分野の開発につながるのは、予測を検証可能な研究へ変えるための接続と記録を設計する視点です。

出典・関連情報

本記事は、TAI AAI #09 - AI x Scienceのイベント案内と上記の講演をもとに構成しています。Tokyo AI(TAI)は研究者、エンジニア、企業をつなぐコミュニティです。Foundry Labsのコミュニティ活動もご覧ください。

Elisa Mendoza Zamarripa、Naruki Yoshikawaの登壇資料をご希望の方は、お問い合わせフォームより、イベント名と登壇者名を添えてご連絡ください。

登壇者プロフィール

Indra Priyadarsini。IBM Research TokyoのResearch Scientist。材料探索へのAI活用に取り組む。 LinkedIn

Elisa Mendoza Zamarripa。MI-6のData Scientist。生物医学の博士課程での研究経験を持つ。 LinkedIn

Naruki Yoshikawa。東京科学大学のAssistant Professor。自律実験室に取り組む。 LinkedIn

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