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AIエージェントを業務で動かすための設計:スキル・実行環境・自律性
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AIエージェントのデモが成功しても、そのまま業務で使えるとは限りません。途中で止まった仕事を引き継げるか、予想外の操作を見つけられるか、失敗後に戻せるか。本番に向けた設計では、こうした問いがモデルの能力と同じくらい重要になります。
2026年5月12日のTokyo AIイベント「Engineering Agentic Workflows: A Full-Stack Perspective」では、長時間動くエージェント、スキルによる知識の再利用、業務に応じた自律性の選択が取り上げられました。
自律性は、仕事の性質から決める
Noeon ResearchのLead Solution Architect、Jeff Yang氏は、決められたワークフローと柔軟なエージェント実行環境を、リスクと制御に関する異なる選択肢として整理しています。すべてのシステムが、より高い自律性を目指す必要はありません。
入力形式も処理順序も決まっているなら、進行はコードで管理し、解釈が必要な部分だけをモデルに任せられます。一方、未知の障害を調べる仕事では、次に何を確認するかを状況に応じて選ぶ必要があります。重要なのは「エージェントを導入するか」よりも、「どの判断を任せると価値が生まれるか」です。
さらに、想定外の操作が起きた場合の損失と、仕事全体を評価できるかどうかを考えます。最終回答が正しくても、許されない操作を経由していれば成功とは言えません。止まるべき場所で止まり、理由が分かることも品質です。

スキルと記憶には、異なる管理方法が必要
MercariのSenior Software Engineer、Kaustubh Hiware氏は、設計、計画、実装、品質確認をスキルで支える考え方を紹介しています。スキルは指示文だけでなく、参照知識、実行用のスクリプト、テンプレートなどをまとめたものです。毎回の会話で説明していた専門知識を、必要な場面で再利用できる形にします。
特に参考になるのが、記憶を三つに分ける整理です。人が管理する知識、個々の実行記録、完了した仕事から抽出する再利用可能なパターンには、それぞれ別の更新ルールが必要です。
例えば障害対応の記録に「この設定を変えたら動いた」と残っていても、それだけで標準手順にしてよいとは限りません。原因を取り違えていた可能性もあります。実行履歴と正式な知識を区別することで、一度の誤りが次の仕事の前提として定着するのを防ぎやすくなります。
長時間の仕事を支えるのは、観測できる実行環境
Shekhar Upadhaya氏の講演は、モデル、ツール、コンテキストを使う推論ループから、長時間の作業を支えるリポジトリ構成へとつながります。複数ファイルにまたがるリファクタリングというテーマは、長く動かすこと以上に、作業の目的と現在地を保つ難しさを示しています。
Yang氏が示す実行環境には、ツールや記憶に加えて、権限、承認、実行記録、評価、復旧が含まれます。これらはモデルを補助するだけでなく、人が結果を判断するための根拠を残します。

失敗した操作を特定できるエラーメッセージや、出力を実際に検証する仕組みがあれば、改善すべき場所も明確になります。失敗の原因が分からないままモデルを替える前に、モデルへ渡す情報と返すフィードバックを見直す余地があります。

Foundryの視点:リファクタリングを、引き継げる仕事にする
社内サービスを新しいAPIへ移行する、という仮の例を考えます。PoCでは一つの接続先を書き換えて動作すれば十分かもしれません。本番では認証、再試行、例外処理、呼び出し元との互換性まで確かめる必要があります。
まず、変更できる範囲と維持すべき振る舞いを明確にします。エージェントには未知の呼び出し箇所の調査や修正案の作成を任せ、権限や検証、リリースの判断は業務として管理します。探索に価値がある場所へ自律性を配置する設計です。
作業記録には、完了した変更、未解決の論点、失敗した検証、解決の根拠を残します。長い会話を読み直さなくても、別の担当者が続きから確認できる状態を目指します。汎用的な移行ノウハウはレビュー済みの知識へ、個別の試行錯誤はその作業の記録へ分けます。
対象を広げる判断には、生成されたコード量だけでなく、修正の受け入れ率、レビュー工数、回帰不具合、復旧時間が役立ちます。組織が理解し、受け入れ、保守できる変更を増やすことが、Foundry Labsの企業向けAIエンジニアリングにつながる視点です。
出典・関連情報
本記事は、Engineering Agentic Workflows - A Full-Stack Perspectiveのイベント案内と上記の講演をもとに構成しています。Tokyo AI(TAI)は研究者、エンジニア、企業をつなぐコミュニティです。Foundry Labsのコミュニティ活動もご覧ください。
Shekhar Upadhaya、Kaustubh Hiware、Jeff Yangの登壇資料をご希望の方は、お問い合わせフォームより、イベント名と登壇者名を添えてご連絡ください。
登壇者プロフィール
Shekhar Upadhaya。Skyhost共同創業者・CTO。推論ループと長期実行エージェントをテーマに登壇。 LinkedIn
Kaustubh Hiware。MercariのSenior Software Engineer。フルスタック開発におけるエージェントスキルをテーマに登壇。 LinkedIn
Jeff Yang。Noeon ResearchのLead Solution Architect。実用的なエージェントシステムの設計をテーマに登壇。 LinkedIn
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